2024.07.17
2024.08.26

今人気のマウスピース矯正治療とは?

 

 

歯を矯正する代表的な方法の1つとして、マウスピース矯正があります。マウスピース矯正は透明なマウスピースを使用する矯正方法です。従来のワイヤー矯正とは異なり自由に取り外しができ、矯正中に器具が目立たないという特徴があります。今回は、マウスピース矯正について説明します。

マウスピース矯正のメリット・デメリット

まずは、マウスピース矯正のメリット・デメリットについて説明します。

メリット

治療中に目立たない

マウスピース矯正では、透明なマウスピースを使用するため見栄えを気にすることなく矯正治療を行うことができます。

自由に取り外しができる

マウスピース矯正治療の特徴として、マウスピースを自由に取り外しができる点が挙げられます。そのため、普段通りに歯磨きや食事をとることができます。また、人前で話すときなどにも事前にマウスピースを外しておくことで、人目を気にせずに話すことができます。

通院頻度が少ない

ワイヤー矯正では、ワイヤーの調整を行う必要があるため月に1回の頻度で通院します。一方、マウスピース矯正では、装着するマウスピースを事前に複数枚作製し渡されるため、通院頻度が2ヶ月に1回程度です。ワイヤー矯正と比べて通院頻度を抑えることができます。
※治療計画は、患者さまの口腔内の状態により異なります。担当医の指示に基づきご来院ください。

金属アレルギーのリスクが少ない

ワイヤー矯正では、金属のワイヤーを使用するため、金属アレルギーがある場合は、矯正治療を行うことができません。しかし、マウスピース矯正で使用するマウスピースは、プラスチック製のため、金属アレルギーがあっても矯正治療を受けることができます。

治療中の痛みが少ない

マウスピース矯正で使用するマウスピースは、歯並びと少しズレた形でできています。このズレが歯を動かすための力を生み出します。マウスピース矯正治療では、マウスピースを装着してしばらくはこのズレによる力が歯にかかるので痛みが生じます。しかし、マウスピース矯正治療中に歯にかかる力はワイヤー矯正よりも小さいので矯正治療中の痛みが比較的少ないといわれています。

治療中のトラブルが少ない

ワイヤー矯正では歯の表面にブラケットやワイヤーなど矯正装置を装着し固定します。ワイヤー矯正治療中にこれらの矯正器具が取れてしまい、お口の中の粘膜が傷つくなどのトラブルが起こることがあります。一方でマウスピース矯正では、取り外し可能なマウスピースを使用するのでトラブルは生じにくいといわれています。

デメリット

次にデメリットについて説明します。

適応症例が限定される

マウスピース矯正は、歯に加わる力が小さいので大きく歯を動かすことはできません。そのため、歯を大きく動かす必要のある症例は、マウスピース矯正のみで治療することが難しい場合があります。

長時間装着する必要がある

マウスピース矯正治療では、マウスピースを1日に20時間~22時間以上装着する必要があります。装着時間が少ないと歯に十分な力が働かず、歯が予定通りに動かないことがあります。また、マウスピースを装着しない期間が長く続くとマウスピースが歯と合わなくなることがあります。このような場合は、マウスピースの作り直しが必要です。

毎日洗浄する必要がある

マウスピースは、透明なプラスチックでできています。そのため、マウスピースに汚れがついた状態で放置するとニオイや着色の原因になります。マウスピースを外した時はこまめに洗浄し、清潔な状態を保ちましょう。また、食後マウスピースを装着するときは、マウスピース内に汚れが付かないように歯を磨いてから装着しましょう。

マウスピース矯正で治療できない歯並び

次にマウスピース矯正で治療ができない歯並びについて説明します。

  • 重度の叢生
  • 歯が重なりあっている、歯並びがデコボコしている状態のことを専門用語で叢生(そうせい)と呼びます。叢生が重度で、歯を大きく動かす必要のある症例はマウスピース矯正のみで治療することが難しい場合があります。

  • 骨格的な下顎前突
  • 奥歯で噛んだ時に下の歯が上の歯よりも出ている状態のことを下顎前突(かがくぜんとつ)と呼びます。下顎前突には原因により3種類に分けることができます。1つ目は、下の歯が前方に出ている下顎前突です。歯に原因があるため、歯性下顎前突と呼ばれます。2つ目は、下の顎が過度に成長している下顎前突です。骨格的な問題が原因で起こるため骨格性下顎前突と呼ばれます。3つ目は、歯と骨格的な問題の両方が原因で起こる下顎前突です。マウスピース矯正では、骨格的な問題で起こる下顎前突の治療は行うことができません。

  • 骨格的な上顎前突
  • 奥歯で噛んだ時に上の歯が下の歯よりも出ている状態のことを上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼びます。上顎前突も下顎前突と同様に歯や骨格的な原因で起こるものの3種類に分けることができます。その中でも骨格的な問題で起こる骨格性上顎前突はマウスピース矯正で治療することはできません。

マウスピース矯正の治療の流れ

次にマウスピース矯正治療のおおまかな治療の流れについて説明します。

1:カウンセリング

マウスピース矯正治療を開始する前にカウンセリングを行います。カウンセリングでは、矯正治療の希望を伺い、マウスピース矯正治療のメリット・デメリット、注意点などについて説明します。

2:検査

カウンセリング後、マウスピース矯正治療を希望される場合は、お口の中を検査します。虫歯の有無を検査し、レントゲン撮影、型どりなどを行います。虫歯や歯周病があるとマウスピース矯正治療の妨げになることがあります。場合によっては、マウスピース矯正治療を開始する前にこれらを治療することがあります。

3:矯正治療のシミュレーション

検査で得られたデータを元に歯をどのように動かして治療するかをシミュレーションします。また、治療期間や費用なども併せて説明します。

4:治療開始

マウスピース矯正で使用するマウスピースが完成すると治療が始まります。マウスピース矯正では、10〜14日ごとに新しいマウスピースを歯科医師が指示した順番に装着します。そのため、事前に複数枚のマウスピースが渡されます。治療開始前には、マウスピースの取り扱い方や注意事項などを説明します。

5:定期的な検診

マウスピース矯正治療を開始してしばらくの間は、月に1回の頻度で検診します。マウスピース矯正治療に慣れてきた段階で2〜3ヶ月に1回の頻度で通院します。検診では、シミュレーション通りに歯が動いているか、そして虫歯や歯周病の有無も確認して歯をクリーニングします。

6:保定期間

マウスピース矯正治療終了後は、歯ぐきや骨の状態が安定していないため歯が動き元の歯並びに戻ってしまうこと(後戻りと呼びます)があります。後戻りが起きないように保定装置(ほていそうち)と呼ばれる装置を矯正治療の期間にもよりますが1年ほど装着します。

マウスピース矯正治療の注意点

マウスピース矯正治療を進める上でさまざまな注意点がありますので、説明します。

装着時間の順守

マウスピース矯正治療ではマウスピースを1日に20時間以上装着する必要があります。装着時間が短いとスケジュール通りに歯が動かず治療期間が長くなることがあります。

歯科医師の指示を守る

マウスピース矯正治療で使用するマウスピースは10〜14日装着した後、指示された順番で新しいマウスピースを装着します。指示された装着期間やマウスピースの順番を守らないと、歯が動かなかったり、痛みが出たりする原因になります。

虫歯や歯周病の予防

食後にマウスピースを装着する際は、歯を磨いてから装着しましょう。歯に汚れがついた状態でマウスピースを装着すると、汚れが歯に密着した状態が続き、虫歯や歯周病の原因になります。矯正治療中に虫歯や歯周病になるとマウスピース矯正治療を続けることが難しくなることがあります。このようなトラブルを予防するためにも、ブラッシングを必ず行い、定期的な歯のメインテナンスを受けましょう。

マウスピースの管理をしっかりと行う

マウスピースを装着した状態で飲食するとマウスピースの着色や破損の原因になります。マウスピース矯正治療中に飲食する際は、必ずマウスピースを外してからにしましょう。また、事前に渡されたマウスピースは紛失しないようにしっかりと保管しましょう。

マウスピースを清掃する

マウスピースは、基本的に1日に1回は洗浄します。マウスピースを洗う際は、水洗いか柔らかい歯ブラシを使って磨きましょう。また、水分が付着した状態で放置すると、細菌の繁殖やニオイの原因になります。そのため、マウスピースを磨いた後は、乾いたタオルなどで水分を拭き取りましょう。

まとめ

マウスピース矯正は、透明なマウスピースを用いて歯並びを改善する矯正治療です。
マウスピース矯正のメリットとしては、マウスピースを自由に取り外しができる、見栄えが良い、通院回数が少ないなどが挙げられます。一方で、デメリットとしては治療できる症例が限定される、自己管理が必要といったことが挙げられます。

マウスピース矯正で治療を行うことが難しい症例として、重度の叢生、骨格性の上顎前突や下顎前突があります。マウスピース矯正での治療効果は、マウスピースの装着時間に依存します。
そのため、マウスピースを装着する順番や装着時間を守ることができないと歯がスケジュール通りに動かず、治療期間が長くなることがあります。また、矯正治療中に虫歯や歯周病になると治療が長引くことがあります。このようなトラブルを防止するためにも、自己管理をしっかりと行い、歯間ブラシやタフトブラシなどを用いて磨き残しがないように心がけましょう。