2024.10.18
2024.07.10

すきっ歯に有効な矯正治療法とは

 

 

「すきっ歯」になっていると、笑った時や会話をしている時に、口元がコンプレックスに感じることがあります。「すきっ歯」を治したい場合、どのような治療の方法があるのでしょうか。今回は特に「すきっ歯」に有効な「矯正治療法」について詳しく解説していきます。

すきっ歯とは

「すきっ歯」とは「歯間空隙(しかんくうげき)」といわれる歯並びの一つです。前歯の真ん中だけが開いているものは「正中離開(せいちゅうりかい)」といわれます。
歯と歯の間に隙間が空いた状態になるため、見た目が悪くなってしまいコンプレックスに感じる場合があります。
それから、隙間があることで、食べ物が挟まったり詰まったりすることがあります。また、歯の隙間から息が漏れてしまうために発音が不明瞭になる場合もあります。

すきっ歯になる原因とは

すきっ歯になる原因を詳しく見ていきましょう。

  • 遺伝的に歯が小さい
  • 顎の大きさと比べて、歯の大きさが小さい場合は「すきっ歯」になります。遺伝的な要素も大きいようです。また大きさだけでなく、遺伝的に歯の形が悪い場合にも「すきっ歯」になりやすいです。例えば「矮小歯(わいしょうし」といわれる元々小さな形をした歯がある場合には、「すきっ歯」になってしまうこともあるでしょう。

  • 歯の本数が少ない
  • 先天的に通常よりも歯の本数が少ない場合があります。永久歯は、親知らずを抜いて全部で28本ですが、先天的に歯の本数が少なく、永久歯が28本生えてこない場合があります。
    そのような場合は、余分なスペースが生まれてしまい「すきっ歯」になってしまうことがあります。

  • 過剰歯がある
  • 過剰歯とは、正常な永久歯の本数28本(親知らずを抜いたもの)を超えて生えてきた歯のことです。上の前歯の顎の骨の中に埋まっていることが多く、過剰歯に押されるようにして、前歯と前歯の距離は離れてしまうことがあり「すきっ歯」の原因になります。

  • 上唇小帯(じょうしんしょうたい)の異常
  • 上の前歯から唇までの粘膜の移行部に「上唇小帯」というひだがあります。このひだが通常よりも太く、前歯近くまでしっかりと付着していると、前歯と前歯の間に隙間が開いてしまい「すきっ歯」になることがあります。早い段階で上唇小帯を縮小する外科手術を受ければ良いですが、そのまま永久歯が生える頃まできてしまうと、隙間を生じやすくなります。

  • 指しゃぶりや舌の癖
  • 指しゃぶりや舌の癖があり、前歯を前に押すなどして過剰に力が加わっていると、歯並びがずれてしまい、その結果「すきっ歯」になることがあります。
    指しゃぶりや舌の癖がある場合は、すきっ歯になるだけでなく、前歯が前方に押されて「上顎前突(じょうがくぜんとつ)」、いわゆる「出っ歯」になってしまうこともあります。

このように「すきっ歯」になってしまうのには、さまざまな原因があることがわかります。

すきっ歯に有効な治療方法

すきっ歯の治療方法には、「補綴治療」と「矯正治療」があります。今回は主に、すきっ歯を矯正治療で直す方法を解説していきますが、補綴治療についても知っておきましょう。

すきっ歯を治す補綴治療

補綴治療とは、人工物によって歯の形態を整え、歯の機能を回復させる治療方法です。
この補綴治療によって、「すきっ歯」の原因になっている歯の隙間を埋めて、審美的に回復することができます。
治療方法には、全体を覆う形のセラミックなどの「被せ物」、付け爪のような形で歯に貼り付ける「ラミネートベニア」、光で固まる人工樹脂で歯を形作る「コンポジットレジン修復」が挙げられます。

補綴治療で「すきっ歯」を治すのには、メリットとデメリットがあります。詳しく解説します。

補綴治療ですきっ歯を治すメリット

  • 治療期間が短い
  • 人工物を接着したり被せたりする治療なので、矯正治療と比較して治療期間が短くなります。2回程度の受診で終わることが多いです。

  • 歯の形を変えることができる
  • 歯の形が小さかったり歪だったりすることで、すきっ歯になっている場合、被せ物の形態を大きくしたり整えたりすることによって、歯の形を変えることができます。

被せたり貼り付けたりすることで、簡単に歯の隙間を改善することができるのが補綴治療ですきっ歯を直すメリットだといえます。

補綴治療ですきっ歯を治すデメリット

一方でデメリットも多く存在します。

  • 歯を削る必要がある
  • 補綴治療ですきっ歯を治す場合には、自分の歯を削る必要が出てきます。特に全体を被せるセラミックの場合には、歯を多く削らなくてはなりません。

  • 耐久年数がある
  • 被せ物などの補綴治療は、永久にもつわけではありません。比較的安価なC R(コンポジットレジン修復)を選んだ場合は、1年前後で変色が始まってしまいます。

  • 適応できる症例が限定的
  • 歯と歯の隙間を補綴物で補う場合には、歯の大きさやバランスによって不向きな場合があります。一部の症例でのみ適応できると考えた方が良いでしょう。

  • 見た目が回復できても噛み合わせは治らない
  • 補綴治療で隙間を改善する場合、見た目の回復がメインになり、噛み合わせまでは改善できません。また噛み合わせの改善が必要なほど、歯並びが乱れている場合は、補綴治療での修復は適応外となることが多いです。

このように補綴治療での「すきっ歯」の治療は、簡単に短期間でできるというメリットもありますが、歯を削る必要があったり適応できる症例が限定されたりなどデメリットも多い治療法になります。
根本的に歯並びを治し、きれいな歯並びを保っていきたい場合には、次に解説する矯正治療での「すきっ歯」の治療が良いでしょう。

すきっ歯を治す矯正治療

すきっ歯を治すための代表的な矯正治療には「ワイヤー矯正」と「インビザライン矯正」が挙げられます。
歯に徐々に力を加えて動かしていき、「すきっ歯」を改善します。補綴治療と異なり、しっかりと噛み合う噛み合わせを作りながら、歯と歯の隙間を埋めていくので、歯の機能を損なうことはありません。
「ワイヤー矯正」「インビザライン矯正」それぞれについて解説していきます。

ワイヤー矯正

ワイヤー矯正とは「ブラケット矯正」ともいわれ、最も実績が豊富で昔からある矯正方法です。膨大な実績がありますので、どのような歯並びの場合でも安心して治療を受けることできます。
歯の1本1本にブラケットという装置をつけて、そこにワイヤーを通して歯に力をかけていきます。
歯に装置を装着する必要があるため、矯正装置が目立ってしまうことがデメリットです。
ただし、裏側にブラケットを取り付ける方法や透明なブラケットを利用することで、できるだけ目立たせずにワイヤー矯正をすることも可能です。

インビザライン矯正

マウスピース矯正のうちインビザライン社で作製したものをインビザライン矯正といいます。マウスピース矯正の中では、インビザライン矯正を行っているクリニックが多いです。
マウスピースを装着して、歯並びと整えていく矯正方法で、装置が透明なため、目立たないことが特徴です。矯正装置が目立つことが嫌だという方にオススメの矯正方法です。

クリンチェックという歯並びが整っていく過程をシミュレーションできるソフトにより、現在の状態からから歯並びが整っていくまでの動きをもとに、40枚〜50枚のマウスピースを作成します。
決められた期間ごとに新しいマウスピースに付け替えて、歯を動かしていく方法です。ワイヤー矯正と比べて、急激な力がかかりにくいので痛みが出にくいというメリットもあります。

部分矯正ですきっ歯を治す方法

部分矯正とは、歯並びや噛み合わせ全体ではなく、一部の問題がある部位だけを治す矯正方法です。「ワイヤー矯正」「インビザライン矯正」共に、部分矯正を行うことができます。
「すきっ歯」の場合、問題がある部位が一部だけであれば、部分矯正の適応となることも多いでしょう。

部分矯正のメリット

部分矯正は一般的な全体矯正と比較してメリットがあります。

  • 費用が安価
  • 全体的な矯正に比べると費用が安価になります。ワイヤー矯正の相場は、表側矯正・裏側矯正にもよりますが、おおよそ70〜130万円です。部分矯正であれば、30〜70万円程度になります。
    一方、インビザライン矯正の場合は、全体矯正で70〜100万円が相場となっており、部分矯正であれば、30〜60万円程度です。

  • 治療期間が短期間
  • 一般的な全体矯正の治療期間の目安は、1年〜3年程度です。部分矯正の場合、ワイヤー矯正では3ヶ月〜1年半程度、インビザライン矯正の場合は2ヶ月〜1年半程度です。
    歯を動かす範囲が狭いので、それだけ治療期間は短くなります。
    インビザライン矯正の場合は、マウスピースの枚数が少なくなり、治療期間は短くなります。

部分矯正のデメリット

部分矯正のデメリットは、適応できる症例に限りがあることです。気になる歯並びの乱れは一部分であっても、実際には全体の矯正が必要なケースが多く存在します。
部分矯正が可能かどうかは、歯科医師の診断後にわかりますので、希望する場合には相談をすると良いでしょう。わずかな「すきっ歯」であれば、部分矯正で可能になるかもしれません。

まとめ

「すきっ歯」には矯正治療が有効です。
歯にブラケットを装着してワイヤーを通して歯を移動させる「ワイヤー矯正」、透明のマウスピースを装着して歯を動かす「インビザライン矯正」どちらも「すきっ歯」の治療に効果的です。
確実さを選ぶなら症例数の多い「ワイヤー矯正」、目立たない矯正を選ぶなら「インビザライン矯正」というように、自分の希望に合わせて歯科医師と相談の上決めていくのが良いでしょう。

ただし、インビザライン矯正は、歯を動かす距離が多いような症例には向いていない場合があります。歯と歯の隙間意外に噛み合わせ等に大きな問題がある場合には、ワイヤー矯正の方が良い場合もあります。