2024.08.08
2024.08.21

前歯だけを矯正する部分矯正とは?

 

 

「前歯の歯並びをきれいにしたいけど、前歯だけを矯正できるの?」このような疑問を抱えていませんか?前歯の歯並びだけを整える方法として、部分矯正があります。

本記事では前歯の矯正について悩んでいる方へ向けて、部分矯正についてメリット・デメリット、矯正方法について詳しく解説します。

矯正治療の検討に本記事を参考にしていただけると幸いです。

前歯を整える部分矯正とは

部分矯正とは、一部の歯並びのみを整える矯正治療方法のことです。すきっ歯や出っ歯、前歯がデコボコしている状態などの気になる部分だけを治療できますが、比較的軽度な症例のみに対応している治療方法であり、できないケースもあります。

部分矯正ができる範囲

部分矯正ができる範囲は、中央の歯から数えて3番目の歯(犬歯)から、反対の犬歯までの間にある6本の歯です。上下ともに犬歯から犬歯までの合計12本を、部分矯正によって動かせます。部分矯正の対象箇所であれば、部分矯正で対応できる可能性が高くなります。

部分矯正と全体矯正の違い

歯の矯正治療方法は、部分矯正と全体矯正があります。

部分矯正は、特定の歯に焦点を当てて歯並びを改善する方法です。全体矯正が必要ではない歯並びに適応され、比較的短期間で治療を終えられる傾向にあります。

全体矯正は歯並びを整えることに加え、かみ合わせの改善などの機能面を改善できる矯正方法です。奥歯から動かせるので、部分矯正に比べて対応できる歯並びの症例が多くなります。奥歯を含めた矯正には治療期間が必要となりますが、さまざまな症例に対応できます。

部分矯正の症例

前歯のみを矯正する部分矯正は、対応できる症例が限られており、対応できないケースもあります。部分矯正が対応できる症例と、できない症例を紹介します。

部分矯正が対応できる症例

  • 軽度のデコボコした前歯
  • 軽度の出っ歯
  • すきっ歯
  • 軽度の受け口
  • 矯正した歯の後戻り
部分矯正は、かみ合わせに問題がない状態に限られています。また、奥歯を除いた前歯だけを矯正するので、比較的軽度な症例に限定されます。

矯正治療後に後戻りしてしまった場合、後戻りを治すために部分矯正で対応が可能です。後戻りとは、一度矯正治療できれいに並んだ歯が、元の位置に戻ろうと動いてしまうことです。しかし、大幅に後戻りしている場合は、対応できないことがあります。

部分矯正が対応できない症例

  • 重度のデコボコした歯並びや八重歯
  • 骨格に問題があるケースの出っ歯や受け口
  • 抜歯が必要なケース

歯を大きく動かす必要がある場合や歯を動かすスペースがなくて抜歯が必要になる場合などは、部分矯正は適応されません。また、骨格に問題がある場合は、外科矯正が必要なこともあります。外科矯正とは、通常の歯列矯正に加えて、手術によって顎の骨を動かすことでかみ合わせを改善することです。

しかし、歯並びはそれぞれ異なるため、部分矯正が適応されることもあります。自己判断はできないので、まずは歯科医院で相談してみましょう。

部分矯正のメリットとデメリット

次に、部分矯正のメリットとデメリットについて紹介します。矯正治療を始めてから後悔しないためには、デメリットの部分をしっかり知っておきましょう。

部分矯正のメリット

  • 治療期間が短い
  • 費用が少なく済む傾向にある
  • 痛みが少ない

部分矯正は一部の歯のみを治療するので治療期間が短く、費用を抑えられることが特徴です。短期間で前歯を治したいと考えている人や費用を抑えたいと考えている人に向いています。

矯正治療では、歯を動かすときに痛むことがありますが、全体矯正に比べ歯を動かす範囲が狭いので痛みが少ない傾向にあります。

部分矯正のデメリット

  • かみ合わせを改善できない
  • 対応できる症例が少ない
  • 理想のEラインにならない可能性がある
  • 歯を削る可能性がある

前の項目でも解説していますが、部分矯正の大きなデメリットは、前歯だけを矯正するのでかみ合わせを含め、対応できる症例が限られていることです。そのため、部分矯正を希望してもできないことがあります。

Eラインとは横顔の、鼻先・くちびる・あご先を直線でつないだラインのことで、横顔の美しさをはかる要素の一つといわれています。軽度な症例に対応している部分矯正では、Eラインの大幅な改善は見込めません。

歯を並べるスペースがない場合、歯を少し削ってスペースを確保するケースがあります。歯を削る量はごくわずかですが、健康な歯を削ることに抵抗を感じる人もいるでしょう。

前歯の矯正治療方法の種類

前歯の部分矯正の治療方法の種類と、それぞれのメリットとデメリットについて紹介します。

マウスピース矯正

マウスピース矯正とは、透明で薄く作られたマウスピース型の矯正装置を装着して、歯並びを整える矯正治療方法です。複数のマウスピースを作製し、1〜2週間くらいのペースでマウスピースを交換して、少しずつ歯を動かします。

メリット

  • マウスピースは透明で薄く作られているので目立たない
  • 自分で取り外しができる
  • 痛みが少ない
  • 矯正装置による違和感が少ない
  • 金属アレルギーの心配がない

マウスピース矯正の最大のメリットは、矯正装置が目立ちにくいことです。バレずに矯正治療をしたいと考えている方や矯正装置の見た目を気にされている方に多く選ばれている方法です。

マウスピースは薄く、自分の歯にピッタリフィットするように作られているので、慣れるまで違和感はありますが、比較的違和感が出にくく滑舌などへの影響も少ない矯正方法です。

また、マウスピースは自分で取り外しができ、食事や歯磨きを矯正前と同じようにできるため、ストレスがありません。

デメリット

  • 1日20時間以上マウスピースを装着する必要がある
  • 自己管理が必要
  • 部分矯正でも全ての歯を覆うマウスピースを装着する必要がある

マウスピースを1日20時間以上装着しなければ、歯は計画通り動きません。また、マウスピースの装着時間やマウスピースを交換するタイミングなどの管理を自分でしなければいけません。

マウスピースを装着したままでは飲食ができないため、飲食のたびに着脱が必要になり、慣れるまで面倒に感じることがあります。

表側矯正(ワイヤー矯正)

表側矯正とは、歯の表側にブラケットと呼ばれる装置をつけ、その装置にワイヤーを通して歯に力をかけて動かす矯正治療方法です。

メリット

  • 歯を動かすスピードが早い
  • 適応できる症例が多い
  • 奥歯までではなく、前歯部分に矯正装置をつける
  • 裏側矯正に比べて手入れしやすい

ワイヤー矯正は強い力が加わるので、その分歯を動かすスピードが速くなります。ワイヤー矯正は対象になる症例が多いため、マウスピース矯正で適応は難しいといわれた場合でも、ワイヤー矯正だと適応することもあります。

全体矯正よりも矯正装置を装着する部分が狭いので、違和感が少なく食事もしやすい傾向にあります。また、装置が自分で見えるので歯磨きなどの、手入れがしやすい特徴があります。

デメリット

  • 矯正装置が目立ちやすい
  • 痛みや不快を感じやすい
  • 慣れるまで歯磨きや食事がしづらい
  • 自分で取り外しできない

歯の表側にブラケットとワイヤーを装着すると目立ちます。しかしブラケットとワイヤーの色を、歯の色に馴染みやすいホワイトを使用すると目立ちにくくなるので、矯正中の見た目のストレスも軽減されるでしょう。

ワイヤー矯正は、矯正装置がデコボコしているので違和を感じやすく、強い力が加わっているので痛みが出やすい傾向にあります。また矯正装置を取り外せないため、丁寧な歯磨きをしなければ、虫歯や歯周病のリスクが高まります。

裏側矯正(ワイヤー矯正)

裏側矯正とは、歯の裏側にブラケットを装着して、そのブラケットにワイヤーを通して歯を動かす矯正治療方法です。

メリット

  • 矯正装置が見えない
  • 歯を動かすスピードが速い
  • 適応症例が多い
  • 奥歯までではなく、前歯部分に矯正装置をつける

裏側矯正の最大のメリットは、矯正装置が見えないことです。そのため、矯正器具が目立つなどの心理的な負担は少ない矯正方法です。矯正装置が歯の裏側についているので、万が一食べ物がはさまってしまっても見えません。また、歯の裏側は常に唾液が循環しており、乾燥しにくい環境です。虫歯や歯周病などのリスクも低減できるでしょう。

デメリット

  • 費用が高くなる傾向にある
  • 滑舌に影響が出やすい
  • 食事がしにくくなる
  • 歯磨きが難しくなる

裏側矯正は、表側矯正に比べて費用が高くなる傾向にあります。高度な技術が必要になるため、裏側矯正を提供している歯科医院も限られています。

矯正装置が歯の内側に付いているので、話すときに舌が矯正装置に当たってしまい、発音しにくくなることがあります。また食事の際には矯正装置の違和感と食べにくさを感じることがあります。そして矯正装置は複雑な形状をしているので、食べ物が絡まりやすくなることもあるでしょう。

部分矯正の治療の流れ

一般的に次の流れで、部分矯正を進めます。

  1. カウンセリング
  2. 精密検査
  3. 矯正治療計画の提案と見積もり・契約
  4. 治療開始・治療の進行(通院)
  5. 治療終了後のリテーナー(保定装置)の装着

矯正治療は、初めにカウンセリングをします。カウンセリングは、矯正治療について相談できる大切な場です。精密検査の前なので確定ではありませんが、治療費のおおよその費用や治療期間なども聞けます。

部分矯正ができるのか、どの矯正方法が自分に向いているのかは、自己判断できないため、まずは歯科医院での相談をおすすめします。

まとめ

前歯だけを矯正したいと考えている人や短期間で前歯を矯正したいと考えている人にとって、部分矯正は最適な方法です。しかし部分矯正は、比較的軽度の症例にのみ対応しており、全ての歯並びに対応できるわけではありません。また、部分矯正の方法としては、マウスピース矯正・表側矯正・裏側矯正があり、それぞれメリットとデメリットが異なります。

前歯の矯正を検討している方は、まず歯科医院で相談してみましょう。当院でも無料カウンセリングを承っています。お気軽にお問い合わせください。