2024.07.28
2024.08.22

マウスピース矯正は痛みがあるの?

 

 

「マウスピース矯正」は、装置が透明で目立たないことから人気の矯正治療法です。マウスピースを装着して徐々に歯並びを整えていきます。
矯正治療をするにあたって気になることの一つが「痛み」では無いでしょうか。
マウスピース矯正は痛みがあるのか、また痛みがある場合の対処法はどのようなものがあるのか詳しく解説します。

マウスピース矯正とは

マウスピース矯正とは、透明のマウスピースを装着して、歯を動かしていく矯正治療法です。歯を動かしたい方向に少しずれたマウスピースを装着することで、歯に力が加わります。決められた期間ごとに新しいマウスピースに交換して徐々に歯を動かしていきます。

マウスピースは取り外しができますが、1日20〜22時間の装着が必要で、食事をしている時間と歯磨きをしている時間以外は、基本的に装着したままの状態になります。矯正開始から終了まで40枚〜50枚程度のマウスピースを使って、徐々に歯並びを整えていきます。

マウスピース矯正は痛い?

結論から言うと、痛みが出ることがあります。
ただし、ワイヤー矯正と比べると痛みが少ないといわれており、少ない負担で矯正治療を続けることができます。

マウスピース矯正で痛みが出る理由

マウスピース矯正で痛みが出る理由は、次のようなことが考えられます。

  • 歯を動かす力が加わっている
  • マウスピースが舌や歯ぐきに当たる
  • 口内炎ができている
  • アタッチメントが当たっている
  • 歯根膜が敏感になっている
  • マウスピースがフィットしていない

それぞれの理由について詳しく解説します。

歯を動かす力が加わっている

1つ目は歯を動かすための力が加わっていることで起こる痛みです。
マウスピース矯正で痛みが出る主な原因です。歯がしっかりと動いている証拠でもあります。歯に力を加え続けると、歯の周囲にある「歯根膜(しこんまく)」という歯と顎骨を結びつけている組織は正常な状態に戻ろうと働きます。
その際に、歯が押されている側の骨が徐々に溶けていき、歯を押している側の骨は新しく形成されていきます。この作用を利用して、歯の位置を動かしていくわけです。
この歯を押すことによる「引っ張られているような感覚」を「痛み」として認識することが多いようです。

しかしマウスピース矯正の場合は、1枚のマウスピースで歯が動く距離はおよそ0.25mmといわれています。少しずつ力を加えていくので、調整するたびに一気に力がかかるワイヤー矯正と比べて痛みが少ないといわれています。

マウスピースが舌や歯ぐきに当たる

マウスピース装置の辺縁の部分が、歯ぐきに当たり痛みを感じることがあります。また話している時に舌が辺縁に触れて痛みを感じることがあります。

口内炎ができている

マウスピースの辺縁が粘膜に当たっていると、口内炎ができることがあります。その口内炎が痛みの原因になっていることもあります。
マウスピース矯正は、ワイヤーとブラケットを装着するよりも口内炎ができにくいですが、新しいマウスピースをつけたばかりの時や、装置に慣れていない時は口内炎ができてしまうことがあります。
また体質により口内炎ができやすい人も注意が必要です。

アタッチメントが当たっている

マウスピース矯正では、「アタッチメント」という樹脂でできた突起を歯に接着する時があります。アタッチメントをつけることにより、マウスピースがしっかりフィットするようになり、歯にかかる力を調整することができます。歯を効果的に動かすことができるため、アタッチメントを取り付けることが多いです。
アタッチメントは、歯の表面に取り付けるため、通常はその上にマウスピースが覆いかぶさりあまり気になりません。
ところが、アタッチメントの出っぱりが口の中で引っかかって、口内炎や傷の原因となり痛みを感じることがあります。また、マウスピース取り外しの際に、出っぱりにマウスピースや爪などが引っかかり痛みを感じることがあります。

歯根膜が敏感になっている

マウスピース矯正をしていると、食べ物を噛んでいる時などに痛みを感じることがあります。特に硬いものや噛みごたえがあるものを食べた時に鈍痛を感じるなどです。
矯正治療期間中は、歯と顎骨を結びつける組織である「歯根膜」に負荷がかかっているので、痛みを感じることがあります。

マウスピースがフィットしていない

マウスピースを装着した直後や新しいマウスピースに交換した直後は、力のかかり方が急に変わるので、痛みを感じることがあります。
また、マウスピースをしばらく外してしまった時には、歯の後戻りが起きている可能性があり、マウスピースがフィットせずに痛みを感じることがあります。

マウスピース矯正中の痛みの対処法

マウスピース矯正をしていると痛みが出てしまう時があります。
その場合には、次のように対処しましょう。

歯が動くことによる痛み

まずは痛み止めを飲むことで緩和されます。歯科医院で処方してもらっても良いし、市販の痛み止めでも良いでしょう。
マウスピース矯正を始めたばかりの時やマウスピースを交換した直後は、痛みを感じやすいタイミングになります。そのタイミングに合わせて痛み止めを服用すると良いでしょう。
また、保冷剤などで冷やすのも効果的です。タオルなどで包んでから軽く当てるようにし、冷やしすぎには注意しましょう。
氷などで直接冷やすことや冷やしすぎてしまうとかえって痛みを助長させてしまう可能性があります。

マウスピースが粘膜に当たって痛い

マウスピースの辺縁が、歯ぐきや舌に当たって痛い場合には、辺縁を少し丸めるなどの調整をすることで痛くなるのを防ぐことができます。
歯の移動に関係の無い部位であれば、調整することができるので、歯科医院で相談するようにしましょう。
辺縁が粘膜に当たることで口内炎ができてしまっている場合には、マウスピースの当たる部分を調整してもらえば、口内炎は放っておいても1週間程度で自然に良くなるでしょう。
口内炎用の軟膏を塗布することで、多少早く改善する可能性があります。

噛む時に痛みを感じる

歯根膜が敏感になっていて、噛む時に痛みを感じる場合には、なるべく柔らかい食べ物を選ぶようにしましょう。
硬い食べ物や噛みごたえがある食べ物は、細かく切ったりよく火を通す煮込み料理にしたりなど、調理方法にも工夫をするとよいでしょう。

次にあげるようなものが食べやすくおすすめです。

  • 煮込みうどん
  • プリンやゼリー、ヨーグルト
  • リゾット
  • 茶碗蒸し
  • ポテトサラダ
  • スムージー など

装置に慣れてくると、食事中の痛みも感じづらくなり、徐々に普通の食事が摂れるようになるはずです。
特にマウスピース矯正の場合は、食事中は装置を外すことができるため、装置に食べ物が挟まるなどの心配はありません。
通常時と同じような食事で問題ないでしょう。

装置がフィットせず痛みがある

マウスピースがうまくフィットせず痛みを感じる場合があります。
矯正治療を始めたばかりの違和感やマウスピースを交換したばかりの違和感であれば問題ありませんが、実際にしっかりマウスピースが装着できていない場合には、早めに歯科医院を受診して装着方法の確認を行う必要があります。
うっかり外したままにしてしまい、久しぶりに装着する場合にもそのような状態になるかもしれません。またアタッチメントが引っかかりうまく装着できない場合もあるでしょう。
そのような場合は、マウスピースの歯を動かす力が弱くなってしまい計画どおりに矯正治療が進まなくなってしまうことがあります。歯科医院を早めに受診し、相談するようにしましょう。

マウスピース矯正中の痛みを予防

矯正治療は、歯に力を加えて動かす治療のため、どうしても痛みが出てしまうことがあります。
しかし、適切に利用することで、余計な痛みが出てしまうのを予防することができます。
次に挙げる点に注意して使用するようにしましょう。

装着時間を守る

マウスピースは1日20〜22時間の装着が基本になります。装着時間が足りないと、計画通りに矯正治療が進みません。それどころか外している時間が多くなると、歯の後戻りが起きてしまい、装着した時に痛みが出てしまうことがあります。
必ず装着時間を守るようにしましょう。

マウスピースの交換時期を守る

マウスピースは決められた期間がきたら、次の段階の新しいマウスピースに交換することになっています。
決められた時期を守らないと、計画通りに治療が進みません。間違えたマウスピースを装着したり、交換時期を守らなかったりすると歯に過度な力が加わり、痛みが出てしまうことがあります。
必ず交換時期と交換するマウスピースを守るようにしましょう。

マウスピースの異常は早めに相談

「マウスピースが破損してしまった」「マウスピースがうまくはまらなくなってしまった」「マウスピースを装着するといつもと違う痛みがある」など、マウスピースに異常があった場合は、歯科医院に早めに連絡するようにしましょう。
そのまま使用していると、痛みが出てしまう可能性があります。

まとめ

マウスピース矯正は、痛みが出ることがあります。歯の位置を動かすわけですから、歯に持続的な力が加わり、痛みが出てしまいます。
ただし、従来のワイヤー矯正と比べるとマウスピース矯正は、比較的弱めの力で徐々に歯を動かしていくため痛みが出にくいといわれています。
マウスピース矯正を始めたばかりの時や新しいマウスピースに交換したばかりの時は、痛みが出やすいので、注意しましょう。その時期は痛み止めなどを準備しておくと良いです。
多くの場合、2〜3日で痛みは軽くなってきます。

その他、今までと違う強い痛みがある場合やマウスピース装着時に痛みがあってうまく装着ができない場合などは、その後の矯正治療にも影響が出てしまう可能性があるので、早めに歯科医院を受診し、相談するようにしましょう。