2024.06.28
2024.08.08

出っ歯を治す矯正方法とは?

 

 

出っ歯になる原因

自分は出っ歯なのかもしれないと悩んでいる方やコンプレックスに感じている方もいると思います。
そもそも出っ歯とは、上の前歯が下の前歯よりも4~5mm以上前に出ているという基準を元に診断されます。
鏡で見たときに上の真ん中の前歯2本が目立つと感じる方や上の前歯が当たり自然に口を閉じることができないなどの症状がある方は、歯列矯正を視野に入れてみても良いかもしれません。

軽度の出っ歯の場合は、上の前歯が外側に向かって生えている場合や下の前歯が内側に向かって生えている場合など、歯の生える角度によって出っ歯になっている可能性があります。
この場合、上下の前歯の歯並びを歯列矯正で整えることで治すことができます。 歯列矯正の方法には種類があり、かかる期間や費用などに違いがあります。 基本的には歯に矯正装置を装着し、少しずつ歯を動かすことで歯並びを整えていきます。
歯列矯正と聞くと子供の頃に行うイメージですが、実は大人になってからも治療が可能で、審美性を高めるために行う方も多くいます。
出っ歯の原因としては、先天的なものと後天的なものの2種類があります。
先天的なものとしては、上顎と下顎の骨のバランスや骨格など、主に遺伝によるものです。

骨格による出っ歯の場合は、歯列矯正だけではなく、外科手術を行わないと治らない可能性があります。
また、後天的なものには癖による要因がいくつかあります。

指しゃぶり

幼児期に指しゃぶりをなかなか止められなかった方は、舌を使って吸う動きで、前歯が押されてしまい、そのまま歯が成長してしまった可能性があります。

口呼吸

鼻が詰まりやすい方や、鼻炎の方は口呼吸になってしまいがちですが、そうすると口が開いたままの状態になってしまいます。
それにより、唇の筋力が低下し、舌の力で前歯が押されて前に出てしまいます。

下の唇を前歯でかむ

下の唇を前歯でかむことで、下の前歯が内側に入り、上の前歯が外側に出るかたちとなり、出っ歯になってしまいます。他にも舌で前歯を押す、爪をかむ、舌を上下の前歯でかむなどの癖によって、前歯が前に押し出されてしまう場合があります。
大人であれば、顎の骨が固まっているため、癖によって出っ歯になるほど歯が動く可能性は低いといえます。しかし、長い期間続けると少しずつ歯が動いてしまうこともあるため、思い当たる癖がある方は、注意してみてください。

出っ歯の矯正方法とは

出っ歯の歯列矯正は、主にワイヤー矯正とマウスピース矯正があります。
ワイヤー矯正は、ブラケットという装置と金属のワイヤーを歯に装着して、歯列矯正をする方法で、一般的に歯列矯正と聞くと、この方法のイメージがあるかと思います。
抜歯が必要な場合や重度の出っ歯の場合など、様々な症例に適応できる矯正方法です。

マウスピース矯正は、患者さまが自由に取り外すことができる、透明のマウスピースを歯に装着して歯列矯正を行う方法です。
マウスピース矯正には、様々なブランドがあり、長く行われている矯正方法のインビザラインがおすすめです。
ワイヤー矯正が必要な状態でも場合によってはマウスピース矯正を併用して行うことで、ワイヤー矯正のみの治療方法よりも、短期間で矯正が完了することもあります。
また、度合いによって、全体的に歯を動かす全体矯正と部分的に歯を動かす部分矯正があります。
部分矯正は歯と歯が重なっている部分が少ない場合やかみ合わせに問題がないなど、軽度の症状の場合に行います。
部分矯正では、歯を移動させるために歯の外側を少し削る場合があります。

出っ歯を治す3種類の矯正方法とそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。

1.ワイヤー矯正(表側)

歯の表側にブラケットという装置を着けて、ワイヤーを通し、歯列矯正を行います。

メリット

  • 適応症例の幅が広い
  • ワイヤー矯正(裏側)よりも低価格で歯列矯正ができる
  • 全体矯正の場合、全ての歯に装置を装着して一気に動かすことができるため、マウスピース矯正よりも早く矯正が完了する場合がある

デメリット

  • ワイヤーが表側にあるため、目立つ
  • ワイヤーにくっついてしまうため、お餅などの粘着性のある食べ物は避けなければならない
  • ワイヤーが口腔内の粘膜を傷つけ、口内炎ができる可能性がある
  • 自分で自由に装置を取り外すことはできない
  • 矯正による歯の痛みを感じやすい

2.ワイヤー矯正(裏側)

歯の裏側にブラケットという装置を着けて、ワイヤーを通し、歯列矯正を行います。

メリット

  • ワイヤーが裏側にあるため、目立ちにくい
  • 前歯の裏側にワイヤーを着けるため、前歯が後ろ側に引っ張られ、出っ歯の矯正がしやすい
  • ワイヤーが裏側にあるため、舌で前歯を押す癖を自然と直すことができる
  • 希望があれば、ホワイトニングも行うことができる

デメリット

  • 食事や会話がしにくくなる場合がある
  • ワイヤーが舌を傷つけ、口内炎ができる可能性がある
  • 出っ歯の度合いによっては、ワイヤー矯正(表側)よりも、歯列矯正が完了するまで時間が長くかかる場合がある

3.マウスピース矯正

歯の型をとり、作製された透明なマウスピースを装着して、歯列矯正を行います。

メリット

  • 矯正開始時にどのくらいの期間で歯列矯正が完了するか正確にわかる
  • 透明なマウスピースのため、目立たず審美性が高い
  • 自分で取り外すことができるため、普段通りに食事や歯磨きができる
  • 会話がしやすい
  • 治療方法が、マウスピースを着けるだけのため、ワイヤー矯正よりも手軽に始めることができる
  • 自分で段階的に新しいマウスピースに交換して歯を動かしていくため、痛みをコントロールしやすい
  • ワイヤー矯正と比べて、ゆっくりと歯を動かしていくため、歯の痛みが少ない
  • 金属アレルギーの方にも適した矯正方法といえる

デメリット

  • 適応症例が少ない
  • ワイヤー矯正と比べると、矯正完了まで時間がかかる可能性がある
  • 1日20時間以上、マウスピースの装着を必ず行わなければならないため、自己管理が必須となる

また、ネットやSNSで出っ歯を治す方法について書かれていることがありますが、出っ歯の度合いに関わらず、自分で治すことはできません。
出っ歯の部分を強く指で押すなどで歯に無理な力をかけると、歯の根っこの部分に損傷を与える場合や、歯がぐらついてしまう可能性があります。
自分で出っ歯を治そうとすると、状態が悪くなる可能性が高いため、必ず歯科医師に相談するようにしてください。

出っ歯の矯正にかかる期間と費用

①ワイヤー矯正

  • 全体矯正の期間 約1~3年
  • 部分矯正の期間 約2ヶ月~1年

表側より、裏側の方が長い期間がかかる可能性があります。
通院頻度は1ヶ月に1回です。

  • 全体矯正(表側)の費用 約60~130万円
  • 全体矯正(裏側)の費用 約120~170万円
  • 部分矯正(表側)の費用 約30~70万円
  • 部分矯正(裏側)の費用 約40~70万円

②マウスピース矯正

  • 全体矯正の期間 約3ヶ月~2年半
  • 部分矯正の期間 約6ヶ月~1年

通院頻度は1~3ヶ月に1回です。

  • 全体矯正の費用 約45~100万円
  • 部分矯正の費用 約10~60万円

歯列矯正後は、歯が元の位置に戻ろうと動いてしまうため、どの矯正方法後でもリテーナーという装置を装着する保定期間が約2年必要です。
リテーナーを装着しないと、最悪歯列矯正がやり直しになってしまうため、必ず歯科医師の治療計画通りに行ってください。 また、歯列矯正にかかる費用の内訳は、治療前と治療中、治療後で段階によって様々です。
治療前にかかる費用は、相談料や診断料、精密検査料で、歯科医師はこれらを元に、治療計画を立てます。
治療中にかかる費用は、矯正装置料や矯正管理料(調整料)で、これらは選択する矯正方法により大きく異なります。
治療後にかかる費用は、保定装置料(リテーナーの費用)やメンテナンス料(診察料)です。

また、満足のいく歯列矯正を受けたいけれど、費用が高額のため一括で支払えない場合には、デンタルローンというサービスを利用する方法もあります。
デンタルローンとは、歯科治療のためにあるローンで、保険適用外の治療費用を銀行などが立て替えて支払いをしてくれるというものです。
治療費用に手数料を足した金額を分割で支払うことで、ご希望の治療を受けることが可能となります。

メリット

  • 医療費控除の対象となり、節税に繋がる場合がある
  • 手数料や金利が一般的なローンと比べて安い

デメリット

  • ローンの審査には、20歳以上で安定した収入があることなどの条件がある

デンタルローンを扱う場所によって金利が違うため、慎重にご検討ください。
また、デンタルローンを扱っていない歯科医院もあるため、まずは歯科医院へご相談ください。

出っ歯を放置した場合のリスク

出っ歯を放置している場合のリスクを2つ説明します。

①虫歯などの原因となる

出っ歯を放置していると虫歯や歯周病、口臭の原因になりやすくなります。

出っ歯の場合、歯並びが悪いため、歯磨きで磨き残しが出やすくなります。
また、前歯が出ていることで、口腔内が乾燥しがちになり、唾液の分泌量が低下します。
唾液には自浄作用があるため、乾燥で口腔内の唾液が少なくなると、虫歯や歯周病、口臭などのトラブルが起こりやすくなります。

②かみ合わせが悪くなる

かみ合わせのズレが原因で、滑舌が悪くなる、食べ物をかむ力が低下して胃に負担をかけるなどのリスクがあります。 また、顎関節症(口を大きく開けると顎が痛む)になりやすくなります。
さらに、かみ合わせの歪みは体のバランスにも繋がってしまいます。
まず体の骨格にズレが生じることで、それを補うために筋肉のつき方も悪くなっていきます。
かみ合わせの悪さは、口腔内に留まらず全身に悪影響を及ぼします。

まとめ

軽度の出っ歯であれば、マウスピース矯正などで目立つことなく、歯列矯正を行うことができることを知っていただけたと思います。
出っ歯を治すと口元の印象が良くなり、顔つきが変わります。
また、口腔内に起きるトラブルの回避や全身の健康にも繋がります。
出っ歯で悩んでいる方は、歯科医師に相談することをおすすめします。