2024.05.29
2024.08.02

マウスピース矯正中の食事で気を付けること

 

 

矯正の新時代・マウスピース矯正

歯の矯正をしてみたいけど、ワイヤー矯正は痛くて食べ物を噛むときも痛いと聞くし、少し怖いという理由で避けている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのが、マウスピース矯正です。


患者さまのお口に合わせたプラスチック製のマウスピースと呼ばれる装置を製作し、装着することによって矯正をするという治療法です。従来のワイヤー矯正では、ワイヤーを歯に固定してワイヤーの力で歯を移動させるのに対し、マウスピース矯正では、理想の歯並びに近づくように少しずつ歯の位置を移動させたマウスピースを複数製作し、1~2週間ごとに付け替えることにより、少しずつ歯の位置を移動させます。

矯正中は歯が痛くて好きな物を食べられないという話を聞いたことがあるかもしれませんが、マウスピースは取り外しができるため問題ありません。食事の際には取り外し、好きな食べ物を遠慮せずに食べられるため、食事を楽しむことができます。
ほかにも、歯にかかる力が優しく歯が動くときの痛みが少なく、マウスピース自体はご自身で取り外しが可能で衛生的なため、虫歯や歯周病になりにくいです。 また、透明な0.5㎜ほどの薄い素材でできているため目立ちにくく、表面がツルツルで柔らかい素材のため口の中を傷つけにくいことや、ワイヤー矯正よりも通院回数が少なく済むことが多い、などのメリットも挙げられます。

その上で、マウスピース矯正には守らないと効果が出ない事項がいくつかあります。
まず、1日20時間以上装着することです。長時間装着することで歯を動かす矯正方法のため、マウスピースの付け忘れには注意が必要です。そして、1~2週間経過したら次のマウスピースに変更するというサイクルを繰り返すことにより徐々に矯正していくため、そのサイクルを守らなくてはなりません。
また、食事のたびに取り外し、食後には綺麗に清掃したものを装着する必要があります。

このように、自己管理が必要な矯正方法ですが、習慣になれば痛みやストレスなく歯を矯正することができます。
痛みや見た目など、今までマイナスなイメージがあった矯正治療が少し身近になったのではないでしょうか。

矯正中の食事で注意することは?

生活をする中で、食事は非常に重要です。
ワイヤー矯正では、歯の痛みで硬いものが食べられなかったり、キャラメルなどの粘着度の高いものは食べるのを控えるように言われたりしますが、マウスピース矯正では食事への影響はほとんどありません。
マウスピース矯正は長時間マウスピースの装着が必要ですが、食事のときには外すようにしましょう。
マウスピースを外す理由は4つあります。

1:噛む力で破損する恐れがある

1つ目は、マウスピースはかなり薄いものなので、噛む力によって破損する恐れがあるからです。
一度壊れてしまうと修復は難しく、矯正治療に支障が出る可能性があります。

2:虫歯や歯周病のリスクが高くなる

2つ目は、食べかすがマウスピースの中に入り込み、虫歯や歯周病のリスクが高くなるからです。
虫歯治療をするとマウスピースが合わなくなることもあるため、マウスピースを清潔に保ち虫歯や歯周病の予防を心掛けましょう。

3:マウスピースが着色する

3つ目は、マウスピースを付けたまま食事をすると、マウスピースが着色する場合があるからです。
透明で目立たないことが特徴なため、着色してしまってはもったいないです。

4:食事がスムーズにできない

4つ目は、マウスピースを装着したままだと噛む力が弱くなったり、マウスピースに食べ物がこびりついたりして、食事をスムーズに行うことができないからです。
食事のたびに外すのは多少面倒かもしれませんが、外してしまえば好きな物が食べることができるため、毎回外すようにしましょう。
ただし、水や炭酸水はマウスピースを付けたまま飲んでも問題ありません。


これは矯正をしていない人も同じですが、人は食事をするとお口の中の状態が酸性になります。
酸は虫歯菌の活動を活発にし、歯を溶かしやすくします。食べ物がお口に入っている間は酸性になりますが、食べ物が入っていない状態を一定時間保つことで唾液の力によって中性に戻ります。
これを踏まえると、先ほど「好きな物が食べられる」とはいったものの、マウスピース矯正の効果を最大限に発揮するためには、食事のタイミングや食べ物・飲み物の選び方も関係してきます。

食事のタイミング

1つは食事のタイミングです。決まった時間に食事を摂り間食を控えることで、お口の中が中性に戻る時間ができるため、虫歯になりにくく、お口の衛生状態を保つことができます。だらだら食べ続けているとお口の中の酸性状態が続き、虫歯になりやすくなります。
虫歯になると矯正治療も一時的に遅れが出る可能性があるため、お口の中の状態は常に衛生的に保つことを心がけましょう。また、だらだら食べ続けると、マウスピースを付ける時間がどうしても短くなってしまうため、避けたいことの1つです。

食べ物や飲み物の選び方

次に食べ物や飲み物の選び方です。食べ物は基本的に食べたいものを食べることができますが、硬い食べ物や粘着性の強い食べ物は避け、柔らかく、口腔内に残りにくい食べ物を選ぶことが推奨されます。また、飲み物についても色素の強いものや砂糖を多く含むものは避け、水や無糖のお茶などを選ぶことが望ましいです。

そして、食後は歯磨きをして、お口の中の清潔を保ちましょう。
どうしても歯磨きができない状況のときには、食事や甘い飲み物を飲んだあとに水を飲むことでお口の中を早めに中性に戻すことができます。

食事の時期とおすすめの食べ物

食事中はマウスピースを外すため、基本的には食事内容に制限はありませんが、特に注意が必要な食事のタイミングがあります。
食事に注意が必要な時期とおすすめの食べ物について詳しく説明します。

食事に注意する時期

まず、矯正を始めてすぐは、歯の移動量が大きく、ワイヤー矯正ほどではないですが痛みを感じやすい時期です。
そのタイミングでは、硬い食べ物は避けるのが良いでしょう。時間が経つにつれて徐々に違和感や痛みが少なくなってきて、マウスピースをはめても歯が引っ張られたり押されたりするような感覚がなくなれば、そのマウスピースにおける歯の移動が終わったということです。様子を見ながら普段通りの食事に戻しましょう。
また、新しいマウスピースに交換した後の数日間も注意が必要です。次の段階のマウスピースへ交換したての頃は、歯を積極的に動かす時期です。痛みを感じやすい時期のため、硬い食べ物は避けるようにしましょう。

おすすめの食べ物

食事に注意が必要な時期には、歯への負担が少ない柔らかい食べ物や小さめの食べ物がおすすめです。
主食は、おかゆや麺類、リゾット、グラタンなどが食べやすいです。野菜などは細かく切ってしっかり茹でると歯への負担が減るでしょう。魚は、白身魚を煮るとほろほろと崩れやすいのでおすすめです。お肉は、ハンバーグや柔らかく煮込んだものだと食べやすいでしょう。
そのほかにも卵料理や豆腐料理もおすすめです。デザートは、バナナなどの柔らかいフルーツ、ヨーグルト、ゼリーなどを選ぶと良いでしょう。
料理をするときには、小さく食べやすいサイズまで細かく切ること、柔らかくなるまでよく煮ることを意識するだけで、歯への影響が少なくなるでしょう。食べるときには、少量ずつ食べるように心掛けましょう。

マウスピースはケアと保管が重要

マウスピース矯正において、マウスピースやお口の中を綺麗に保つことが非常に大切です。
マウスピースのケアと保管方法を詳しく説明します。

マウスピースのケア

毎日、マウスピースを清掃するようにしましょう。マウスピースを洗うときには、指や柔らかい歯ブラシでマウスピースの外側と内側の両方を隅々まで擦ります。この際に強く擦ることや硬い歯ブラシを使用すると、マウスピースに傷がついて汚れがつきやすくなるため注意しましょう。
また、洗うときに歯磨き粉を使うと細かい傷ができ、そこから細菌が繁殖する恐れがあるので、使わないようにしましょう。洗い流す際に熱湯を使用してしまうと変形する恐れがあるので、水かぬるま湯で洗いましょう。

これらのことに気をつけて毎日清掃していても、マウスピースにヌメリを感じる場合があります。
そのときにはマウスピース専用の洗浄剤を使用しましょう。毎日でももちろん良いですが、2~3日に1回を目安に洗浄剤につけると、臭いやマウスピース表面のザラつき、ヌメリが解消されます。入れ歯洗浄剤でも代用できますが、強い洗浄成分が配合された製品もあり、マウスピースに良くない影響が出る可能性もあることから、マウスピース専用の洗浄剤を選ぶことをおすすめします。マウスピース専用の洗浄剤はドラッグストアなどで購入できます。

マウスピースの管理

また、食事などでマウスピースを外す際は、マウスピースの管理が重要です。
適切な管理を行わないと、マウスピースを汚したり、破損や紛失したりする可能性があります。先ほど、食事をするときにはマウスピースを外すようにと話をしましたが、マウスピースを触るときに手が汚れていると良くないため、まずは手洗いをしてから触るようにしましょう。
そして、マウスピースを外したあとは、必ずマウスピースケースに保管してください。こうすることで、マウスピースが汚れたり、紛失したりするリスクを減らすことができます。
食事が終わり再度装着する際は、取り外していたマウスピースを水で洗い流してから取り付けるようにしましょう。汚れたまま装着してしまうと、お口の中に汚れがついてしまうため、口臭の原因にもなります。
お口を清潔な状態に保つためには、マウスピースを外したときの清掃が非常に大切です。

まとめ

食事は、生きるために必要な栄養を摂取するための行為ですが、美味しい味を楽しむため、家族や友人と健康で幸福な時間を過ごすためなど、様々な目的があります。
マウスピース矯正は、そんな大切にしたい食事の時間を、歯の矯正中だからと我慢することはありません。マウスピースを毎回外したり、装着前に清掃したりと、多少の手間はかかりますが、今と変わらない食事を美味しく楽しめるうえに見た目も目立つことなく歯並びの矯正もできるという魅力的な方法です。
歯並びが気になる方は是非とも一度、マウスピース矯正を検討してみてはいかがでしょうか。