2024.05.08
2024.08.02

セラミック矯正はどんな治療?

 

 

セラミック矯正とは

セラミック矯正とは、セラミックの被せ物を使って歯並びを整える治療方法です。
実際に歯を動かすのではなく、被せ物の形で歯をきれいに見せます。
矯正歯科ではなく、審美歯科治療になります。被せ物により、すぐに歯並びを治せることから「クイック矯正」といわれることもあります。

セラミックの特徴

「セラミック」とは、いわゆる「陶器」と同じ材料です。セラミックで作った被せ物は、天然の歯と同じような透明感と白さを再現できるため、見た目が美しいことが特徴です。
セラミックの歯は、陶器を落とすと割れてしまうことがあるように、急な衝撃により割れてしまうリスクがあります。
ただし材料は日々進化していて、「ジルコニアセラミック」という材料は、人工ダイヤモンドともいわれるセラミックの一種で、金属と同じように強度があるのが特徴です。透明感のある色味も再現できるようになってきました。
セラミック矯正で使用するセラミック系の材料も、日々進化していますので、セラミック矯正を希望する場合には、歯科医師に聞いてみると良いでしょう。

セラミック矯正のメリット

セラミック矯正のメリットは次の5つです。

  • 治療期間が短い
  • 矯正装置をつける必要がない
  • 矯正治療中の痛みがない
  • 費用を抑えられる
  • 後戻りが起こらない

それぞれについて詳しく解説します。

治療期間が短い

矯正治療は、徐々に歯を動かしていくため、治療期間が長く、年単位でかかります。一方、セラミック矯正は、歯を動かすわけではなく自分の歯を削って被せ物をするだけなので、治療期間は圧倒的に短くなります。
ですから急いで歯並びを整えたい場合には、適した方法です。

矯正装置をつける必要がない

矯正治療の中でも特に従来からあるワイヤー矯正では、矯正装置が目立ってしまうというデメリットがあります。
セラミック矯正の場合は、矯正装置の装着が必要ないため、治療中の見た目を気にする必要がなく、矯正装置をつける煩わしさもありません。

矯正治療中の痛みがない

矯正治療は、歯を動かす治療なので、痛みが出ることがあります。セラミック矯正は、歯を動かさないので、歯を動かすことによる痛みが出ることはありません。
ただし、セラミック治療の場合、歯を削って被せ物するので、治療による痛みが出る可能性はあります。

費用を抑えられることがある

セラミック矯正は保険適用外のため、自費治療になりますが、矯正治療と比較するとトータルの金額は安く抑えられることが多いです。
セラミック矯正の費用は、歯の本数にもよりますが、1本あたり10〜15万円程度になります。2本の被せ物で済む場合には、20~30万円程度になります。
矯正治療を全顎行う場合には70〜130万円程度、部分矯正を行う場合には、30〜60万円程度のため、矯正治療よりも費用は抑えられます。

後戻りが起こらない

歯の位置を動かす矯正治療では、歯の位置の後戻りが起きることがあります。
矯正治療では、後戻りを防ぐために、保定装置(リテーナー)を装着する必要がありますが、セラミック矯正の場合にはその必要がありません。

セラミック矯正のデメリット

どんな治療にもデメリットがあるように、セラミック矯正にもデメリットがあります。主に次の3つのデメリットが挙げられます。

  • 自分の歯を削る必要がある
  • 虫歯や歯周病のリスクが増える
  • 被せ物に寿命がある

それぞれについて詳しく解説します。

自分の歯を削る必要がある

セラミック治療は、被せ物の向き・方向・位置によって歯並びを整えていきます。そのため、自分の歯をある程度削る必要があります。
場合によっては、歯の神経を取る処置をしてから被せ物することになります。歯は、削れば削っただけ、歯自体の寿命が短くなる可能性があります。また、歯の神経を取ると歯自体が脆くなり、将来的に歯が割れたり折れたりしまうリスクが高くなります。
どれほど良い被せ物を入れたとしても、天然の歯にはかないません。その点、自分の歯を削るということは大きなリスクになります。

虫歯や歯周病のリスクが増える

被せ物をすると精密に作製された物であっても、天然の歯と被せ物の境目にわずかな段差ができます。そのため、その部分には汚れが溜まりやすくなります。
天然の歯と比べて汚れが溜まりやすい分、セラミックの歯は虫歯や歯周病のリスクも高くなります。
セラミック矯正をした後は、より丁寧に歯の根本部分のブラッシングケアをする必要があります。

被せ物に寿命がある

セラミックの被せ物は、基本的には10年〜20年もつといわれています。しっかりとケアを行えばもっと使用し続けることができます。
しかし、被せ物は永久的ではありません。セラミックが割れるなどして、作り直しが必要になった場合は、また同様の費用がかかります。
通常の矯正治療の場合は、歯並びがしっかりと整えば、一生そのままになりますから、その点セラミック矯正は経済的だとはいえません。

こんな方にセラミック矯正がおすすめ!

次のようなケースではセラミック矯正が適していることがあります。具体的な例をいくつか紹介していきます。
なお、お口の中の状況は人それぞれ異なり、必ずセラミック矯正が適しているとはいえませんので、お口の中の検査をしっかり行ってから判断しましょう。

前歯の一部分を矯正したい

例えば、前歯の真ん中に隙間が開いていて、その隙間を埋めたいという場合には、セラミック矯正が向いています。
前歯数本の治療で済み、歯の負担が少ないからです。
セラミック矯正では、見た目の改善はできても、噛み合わせまで改善させることは難しいケースが多いため、奥歯などの多数歯を対象とするケースには向いていません。

歯の色も同時に美しくしたい

歯並びも整えながら、歯の色も同時に美しくしたい場合には、セラミック矯正で一度の希望を叶えることができます。セラミック矯正では、被せ物により歯の色調を自由に決めることができます。

既に被せ物をしている歯を整えたい

既に虫歯の治療などで被せ物をしている場合には、セラミック治療の「自分の歯を削らなければならない」というデメリットが最小限で済みます。セラミックを被せるために、土台の歯の削り直しは必要になりますが、健康な歯を削るよりはリスクが少ないでしょう。
「被せ物のやり替え」をしながら、歯並びを整えることができます。

セラミック矯正の注意点

セラミック矯正をする場合に注意するポイントがあります。
セラミック矯正はわずかな歯の形や向きなどで、仕上がりに大きな差が出てきます。
施術する歯科医師のセンスによるところもありますので、セラミック矯正の症例を多く取り扱っている歯科医院で、よく説明を受けた上で実施を決めると良いでしょう。

症例数・実績の多い歯科医院

セラミック矯正では、ただセラミックの被せ物をするだけでなく、仕上がりをデザインする必要があります。
セラミック矯正の症例数や実績の多い歯科医院では、「このケースでは、このように並べると良くなる」というように、仕上がりのイメージができるので、治療が成功することが多いでしょう。

詳しい説明を聞くことができる

見た目が特に大事になるセラミック矯正では、仕上がりをイメージできる症例写真等を見ながら、きちんとした説明を受けられる方が安心です。
セラミックにも様々な種類があるので、仕上がりの色味や透明感なども併せて確認すると良いでしょう。

矯正後のメインテナンス

セラミック矯正は、一度施術を行えば歯並びが変わることはありません。
しかし、長く使用していくためには、治療後のメインテナンスがとても大切です。
セラミック矯正のデメリットにも記載したように、セラミック矯正は自分自身の歯を削らなくてはならず、歯の根本に汚れが溜まりやすくなることから、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。定期検診やクリーニングを受け、歯のメインテナンスをしていきましょう。

定期検診

歯に痛みが出る時には、すでに虫歯が深くまで進行している場合や、歯ぐきの炎症がかなり大きくなってしまっていることが多いです。
痛みなどの自覚症状を感じる前に、定期的にチェックを受け、虫歯や歯周病が無いか、噛み合わせ等に問題が起きていないかをチェックしてもらうようにしましょう。
もし問題があった場合には、早めに治療をすることが大切です。

定期的なクリーニング

セラミック矯正をした後は、歯の根本部分に汚れが溜まりやすくなるので、特に注意して歯を磨くことが大切です。
通常の歯ブラシ以外に、デンタルフロスや歯間ブラシ・ワンタフトブラシなどの清掃補助用具を使って丁寧に清掃をするようにしましょう。
そして、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることをおすすめします。毎日の自分での歯磨きだけでは、どうしても磨き残しがあります。
定期検診と併せて、歯科医院でのクリーニングを受け、セラミックの被せ物をできるだけ長く使えるようにしていきましょう。

まとめ

セラミック矯正は、セラミックの被せ物をすることで、歯並びを整えていく方法です。短期間で治療することができ、前歯数本の歯並びを整える場合などに有効な方法です。
通常の歯科矯正のように、歯並び全体を整えたい方や噛み合わせを改善する場合には不向きだといえます。
また、歯の向きや大きさを整えるために被せ物をするため、ある程度自分の歯を削る必要があります。
どんなに良い被せ物でも、天然の歯に優るものはありません。「自分の歯を削る」というリスクがあることは頭に入れておきましょう。